AGAと呼ばれる男性型脱毛症の治療は、できるだけ早いうちに始めた方がよいといわれていますが、その理由について知っている人はそれほど多くないものの、これ自体は医学的な見地や男性型脱毛症のメカニズムから考えても間違いはありません。なぜ早い段階がよいかというのは、AGAがヘアサイクルを乱れさせることによって薄毛を進行させていると考えると理解できるでしょう。
そもそも、AGAになる人は男性にも女性にも見られますが、全体的には男性が多くなっており、それは男性ホルモンと女性ホルモンのホルモンバランスの乱れが大きな原因となっていることであるといわれています。その結果、男性ホルモンが毛髪に侵入して別の物質に変化して、ヘアサイクルを乱れさせたり、毛髪の成長や再生を妨げ、抜け毛を進行させたり、いつまでたっても細く抜けやすい毛の状態で留まってしまい、結果的に全体的に髪が細く、抜けやすくなってしまいます。
髪の毛というのは毛母細胞の分裂回数が決まっており、その回数が終了すると毛根が死ぬため、二度とその箇所からは髪の毛が生えてきません。髪の毛はテロメアの働きによって約40~50回分裂したら終了と言われていますが、この回数を終えると毛髪が生えてこなくなり、いくらプロペシアの服用やミノキシジルなどの塗り薬といった、良く知られて折り実績のあるAGA治療をしても、効果が見られなくなります。
細胞にはもれなく「テロメア」という細胞分裂の回数が決まっている染色体の末端部にある構造があります。人が死ぬまで成長し続けて5mも大きくなったり、不老不死にならず老いていくのはこのせいです。髪の成長を司る毛乳頭細胞にもこの「テロメア」が存在しますので、凡そ50回前後のサイクルを終えると、そこから髪が生えてくることはありません。なお、この「テロメア」が壊れた細胞の一例としては「ガン細胞」があり、無限に増殖を繰り返し周りの細胞に悪影響を与えていきます。
なお、正常なヘアサイクルは2~6年で一周といわれていますが、AGAになった人はこのサイクルが極端に短くなり、半年から一年でその周期を終えてしまいますので、通常よりも短期間で薄毛の治療の効果が見られなくなるということにも着目しておかなければなりません。仮に半年で40サイクルを終えてしまった場合には、AGAが進行してから20年程度で毛髪が生えてこなくなるということになりますので、男性型脱毛症(AGA)は早期治療が必要といわれているのはこの為です。これがAGAが進行性の薄毛だといわれている理由でもありますが、早期治療とはいえ、気軽に治療が受けられる金額でもありませんし、クリニックの数も一般的な病院に比べるとかなり少なくなっており、色々な理由から後延ばしにしてしまう人が多いことも現状です。
そして数千円で手軽に手に入る育毛サプリやスカルプシャンプー、育毛剤など医学的な薄毛改善のエビデンスの一切無い商品の広告に乗せられて散在してしまうケースが非常に多くあります。ただ、育毛剤の中でも大正製薬が発売しているリアップに関してのみ「ミノキシジル」という医師が認めた発毛効果のある有効成分がふくまれていますので、薄毛改善の期待が出来ます。ただ、OTC医薬品で値段も7,000円前後と高額な事を考えると、病院で内服薬で治療をした方が確実でしょう。
AGAを発症した年齢で見てみると、男性ホルモンの分泌量が減少してくる40代以降は、ホルモンによる髪の毛への阻害物質が作られにくくなりますので、様子を見ながら通院するのも良いでしょう。しかし、逆に20~30代のホルモンの分泌が活発な世代からAGAにかかってしまうと、サイクルの短縮化も年長の人よりも速く行われることになりますので、結果的に若い年代で抜け毛が酷くなってしまう危険性があり、若いから治療は後に伸ばしても大丈夫ということにはなりません。そのため、20~30代の若い年代でAGAの傾向が見られるようになった人は一度クリニックで検査をして、適切な治療を受けてサイクルを正常に保った方が良いですし、ある程度ホルモンの分泌が抑えられる40~50代になってから気になりだした人は、治療自体のコストとその効果を天秤にかけてクリニックに相談に行ってみるというのもよいでしょう。
上記の様に一般的な病気とは異なり、男性型脱毛症(AGA)の場合にはホルモン分泌が活発な若い世代の内に早期治療をしたほうがよいというのは、それなりの理由があります。
男性型脱毛症(AGA)治療は自由診療になりますので、年間で考える数十万~100万円超の費用負担になってしまいますが、時間は巻き戻せないことを考慮すると、できるだけ速やかに治療を受けに行くとよいでしょう。なお、カウンセリングだけならば病院によっては無料か数千円程度ですみますので、気になり出したら一度相談に行ってみて、詳しい話を聞いてみましょう。